運命的な出会い、そんな出会いは本当に存在するのか。
身も心もひとつになり、そしてどんな苦難も乗り越える真実の愛。
 
この映画の主人公《涼となつ》はその運命的な出会いをえた。
ふたりはまさに、一心同体となった。
それは、喜びも悲しみもこころが求めるものを感じあうだけではなく肉体的に《いたみ》を感じあうことになってしまったのだ。
いたみを共有する?そう、片方が傷つくともう片方も何もしていないのに肉体的なダメージとその痛みを強烈に感じてしまう、そういうことなのだ。
 
それこそが運命!
つまり、なつのちょっとした怪我が違う場所にいる涼にそのまま痛みが伝わってしまう。
ふたりにとっては愛し合うことの証明書みたいなものだ。
どこにいても相手の存在が解る、感じる、伝わる、。すばらしい!
 
それがふたりの運命?
運命を受け入れること、恋愛においてそれは甘く切ない最上級のできごと。
ふたりは運命をうけいれ分かち合ったのだ。とろけるようにおバカな恋愛を撒き散らすようにその運命を楽しんでいる。しかし、また、運命には悲劇が潜んでいる。
甘く切ない媚薬のような運命もいずれその薬効からさめるときがくる。
いたみを共有する甘美な夢から、さめるときがきた。